2010年11月30日火曜日

雲の世界の向こうをつかむ クラウドの技術

 クラウドについて、少し突っ込んで理解したい人用の読み物。最新の事案などがちゃんと書かれていて十分にタイムリーな内容だ。ただし、技術視点から何かをやろう(構築してやろう)と思って読んでもこの本は役に立たない(じつはそんな時は、市販の本はあまり役には立たない、ネット上の最新情報を探して読まないと)。これはクラウド入門編詳細版といったところ。ご自身の知識の強化のために、「クラウド大全」と合わせてどうぞ。

 個人的には、key-valueストアの開発のあたりにとても興味を覚えた。そういうのずいぶん前に作ってましたから。やっぱ、日本人的な発想なのかな?


  • 雲の世界の向こうをつかむ クラウドの技術 ASCII
 最近、自分の興味で選択した本を読む時間が少なくなってきた。忙しいのはいいことなんだが。。。
 

2010年11月21日日曜日

ダメな”システム屋”に騙されるな!

 筆者、佐藤治夫さんは元システム屋で、元エンドユーザ企業CIOといった経歴のコンサルタント。いろんな立場からコンピューター業界を観察して、不合理な慣習、発注者と受託者のそれぞれの言い分や都合、保身的な論理を批判する。

 業界にどっぷり使った身としては、手厳しい意見に耳が痛い。コンピューターシステムの構築業はサービス業であるので、当然「顧客満足を提供すること」を第一に考えるべきであることは疑いもない。しかしながら、構築者のスキル不足や短納期、資金不足など様々な阻害要因が常にあり、兎にも角にも「進行させ」「終了させる」ために、言い訳しながらプロジェクトを遂行させているのも事実である。

 必要にして十分なリソース確保によって顧客満足を提供したいのは山々ではあるが、プロジェクトは大抵何かの欠乏が動機で開始される事になっている。曰く、資金がないから儲かる仕掛け。人材がいないから自動化。知識がないから知識の集積データベース。だ。コンピュータシステムの構築は結構難しいのだ。
 本来、コンサルティングのフェーズでの知恵出しがあってからプロジェクトが開始されるべきと思うが、いきなり要望の羅列から始まっちまうのが常だ。(これも言い訳だな。)

 ただ、何の目的意識も無くなってしまっているようでは、"単なるシステム屋"として"ダメな..."と言われても仕方が無い。いつでも問題意識や対応課題に関する目標設定などを通じて、より役に立つものの構築を目指そう。

  • ダメな“システム屋”にだまされるな! 佐藤 治夫

 

 日本のシステム屋<->海外のシステム屋の対比で書かれている部分があるが、私自身の経験からは「日本はダメ」「海外えらい!」みたいな感想は持っていない。海外勢もひとたび「受託」的な立場に入れば、同じような言い訳をやり出す。
 受託でヤルやり方と、企画開発をヤルやり方では、当然設定されたゴールもマイルストーンも違う。開発者のスキルとモチベーションの方向も異なっている。マネージャはそれら上手くまとめつつゴールに向かわせなければならない。プロジェクトがうまくいかないのは、資源特性と方法のミスマッチが問題なのではないか、などとも考えてみた。マネージャの役割は重要だ。

2010年11月9日火曜日

BOOKビジネス2.0 ウェブ時代の新しい本の生態系

 本が出たのは7月で、Twitter上で著作たちご自身によるつぶやきもあったりして「どんな内容かなー」と興味はもっていたが、やっと先月から読み始めた。他にも技術系の本もたくさん読んでいたので時間がかかったが、ようやく読了。
 内容は、署名のビジネスのところに期待すると肩透かしを食らう。いわゆる2.0ビジネスの本ではない。ここでのビジネスは業界とか関係者って意味で、儲け方法ってことではない。

  • ブックビジネス2.0 - ウェブ時代の新しい本の生態系



 有名編集者やブロガーの主張は日ごろも色々なメディアで書かれている事柄と重複するので、まあそうだよねっ、って感じの部分が多い。
 僕自身は「長尾館長の図書館構想」の部分と「野口祐子さんのクリエイティブ・コモンズ」の話が新鮮で刺激をうけた。(実は、長尾構想は耳タコくらいに繰り返し聞いてはいるが、ご自身の文章で整然とご説明されたのを読んだことがなかったのだ)
 要するに、電子化されることで生まれた利益と損失、利益を最大化しつつ損失を最小化するための知恵の出し合いと実践。活動をされている方の話は説得力がある。これが面白いと感じた。

 電子ブックの話題で賑わうこの頃だが、本というものが形のないものになっていく、その一端(一部)がiPadやKindleで読むタイプのものだ。おなじみのWebやメルマガも本だ。
 ソーシャルネットで流れる人々同士の関係性は「本」だろうか、記録されてストーリーがあれば本かも知れないな。電子情報化時代にネット以外で流通する本はなんだろうと考えたり。
 いつもどおり、ただただ、まとまりなく。zzzzz